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インサイドアジアでは、在中18年目の作家・谷崎光とアジアの精鋭インサイダーたちが”本当”をお伝えします。

香港のデモでSNS監視、盗聴を恐れる大陸の中国人たち、ウイチャットのビデオ通話でシーッのポーズ

「あの、香……」

「シーッ。捕まるよ!」

 

ウイチャットの無料ビデオ通話。

私が香港(シィアンガァン)のシィアンまで言い終わらないうちに、相手はスマホごしに指を口にあて、言っちゃいけないのポーズを取った。

 

こんにちは。

香港人が送られることを恐れて大規模デモまでやる中国大陸に、わざわざ18年間住んでいる谷崎光です。

 

もちろん香港のデモは、法が改正されたら、容疑者が(ようは疑われただけで)大陸に送られるようになることへの反対である。

 

中国では、日本のテレビが香港デモ報道のときは遮断されて真黒になったり、香港デモの報道が、中国政府のごくわずかな公式発表であることはすでに伝えられている。

 

 

正直、香港の事情を知るような一般中国人はトラブルを恐れて口をつぐんでいる。

「今回はバカな発言をしたり、中国大陸のSNSに香港デモ映像を投稿したりすると、高確率で当局にひっぱられる」

私もそう思う。

 

現地アプリも検索制限

 

さて、二度目の大規模デモのあった昨日。

抖音(TikTok)を開いてみると、なぜか突然、本人確認された。

自分のウイチャットIDともう一度、ヒモ付してください、とある。

久々に開いたならともかく、なんかヤな感じ、もしかして脅しですか、そうですか、と、無視した。私、中国で投稿とかは一切しませんから。

しかしそのまま使える。これもなんか変である……。

 

開いた抖音(TikTok)はいつもと変わらない、今の中国人のキラキラライフやおもしろ映像。

まず「香港」で検索してみた。

 

最初にでてくるのは、「香港、富豪住宅エリア訪問。ここにくると自分がビンボーなのがわかる」である。

その他「旅行」や「食べ物」「明星(スター)」関係の楽しい映像ばかりがでてくる。

 

次。「遊行(デモ)」で検索。

いきなりこれだった……。

 

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6月16日 中国のTikTokで、「デモ」を検索した結果


 

言葉を変えても同じである。

 

中国の某動画SNS会社に見学に行ったことがあるが、アフリカとか他の国で投稿される映像を中国でその国の人々を雇って一括管理していた。

 

「治安などに影響する映像は流さない」そうである。

もちろん中国へ好印象を与える映像も流すだろう。

 

 

微博もいきなり本人確認された。

微信(ウイチャット)は本人確認はされなかったが、香港を知るいくつかの中国人グループがこの件について、沈黙することは石のごとく。

速攻で閉鎖されるからである。

 

 

たとえVPNを使っていなくても、ネットも含めて、どのメディアでもSNSでも、よく検索すれば今回のデモの件も中国で、でてこないことはない。写真も映像もある。

ただし情報は制限されており、ネットだと香港がよくやっている小さなデモの情報が主に出てきて、今回の件をよく知らない人なら「ふーん、そんな感じ?」と思うかもしれない。

 

ただそういうデモでも大陸の人にとっては、香港でリアルに見ると衝撃だそうである。

 

他のルートで香港の状況を知っている人たちも表立っては何も語らない。

 

電話もヤバいし、けっきょく何人かで、盗聴などない安全な場所へご飯を食べに行った。携帯は置いていった。

 

 

 

香港の底力か、

窮鼠猫を噛むか

 

さて今回の件、とりあえず延期されて本当に良かった。

香港人の自分たちの最後の居場所を守る気持ちには、胸打たれた。

 

 

日本の自分たちも、逃げられないくせに(中国に住む私だって、最終、日本人であることからは逃げられないのである)、戦ってないなと不甲斐なさも感じた。

 

ただこれが香港人の民主の力だけの結果と思うのは、少し早計な気がする。

中国はきっとすべてのことが権力闘争なのである。

知らんけど。

香港の人々は、どこか黒社会の脅しを使った立ち退きに反対する住人のようにも見える。

 

中国はいつだって、逃げるひと、逃げないひと。逃げられるひと、逃げられないひとに分類される。

逃げられるのに逃げないひともいるが、逃げられるから逃げるひとはすでに準備を始めている。

1997年の香港返還前のように。

 

jp.reuters.com

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谷崎光 ダイエーと中国の合弁商社勤務を経て作家・ジャーナリスト。 2001年から北京在住18年目。著書は松竹で映画化の『中国てなもんや商社』(文藝春秋)『男脳中国 女脳日本』(集英社インターナショナル)『日本人の値段 中国に売られたエリート技術者たち』(小学館)など20冊。北京大留学。Amazonは    noteは 

 

 

 

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