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インサイドアジアでは、在中18年目の作家・谷崎光とアジアの精鋭インサイダーたちが”本当”をお伝えします。

ノートルダム大聖堂火災。現地華人社会でテロ説も根強くささやかれる根拠

4月15日から16日にかけて、パリでノートルダム大聖堂の火災が起こった。フランス政府は事故性を否定し、さらにおそらくは電気系統による失火であろうと発表。ただし、正確な原因は現在も調査中としている。

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ノートルダム大聖堂。筆者撮影

 

さらに”教会”関連のニュースとしては、4月21日、スリランカで起きた複数のキリスト教教会やホテルへの爆破テロがある。

ノートルダム大聖堂火災の原因は不明だが、ニューズウィークの記事によれば、

www.newsweekjapan.jp

2018年の1年間だけで、フランスにある4万2258の教会のうち875が破壊されたという。

フランスに限らず、現在、世界中でキリスト教教会へのアタックは多い。

 

正誤交えて、

とにかく早い華人情報

 

ノートルダム大聖堂火災の第一報を私が知ったのは、16日、朝5時半(中国・北京時間)、知人のウイチャットからである。

 

この日は早起きだった。

起床して、携帯を見ると、まず夜中の2時ぐらい(ほぼ発生と同時)に、現地テレビのニュースのスクショが、パリの中国人の友達から送られてきていた。映像や写真も追って来ていた。

 

微信(ウイチャット)のグループでも、フランス在住者はけっこういるから、近くに住んでいる人が撮影した映像、写真などがどんどん共有されていく。

(日本ではあまり知られていないが、パリで苦学した鄧小平をはじめとして中国は早くから欧州に留学生をたくさん送り出している)。

 

こういう私家版映像を見た時は、まずネットのノートルダム大聖堂の写真と合わせて屋根の形などを見て、一応は真偽を確認する。

 

日本のニュースだと、そろそろ一報が出たぐらいだったろうか。

 

火災中にパリ市民が賛美歌をうたう様子、SNSにアップしては消されていたという大聖堂の塔の崩壊写真(今日はすばらしい日だ! という言葉とISILの署名がついている)を見たのも、ニュースより微信のほうが早かった。

 

この一般人の情報発信のほうが早い、というのはすでに日本でも同じだろう。

スマホは世界の何十億人を、映像も写真も撮れる現地特派員に変えたのである。

 

早いと言えば、間髪を入れず、フランス永住権をエサにした中国大陸向けファンド詐欺も出現した……。

 

 

 

在仏の中国人の間でも、

衝撃は大きい

 

 

ノートルダム大聖堂火災は、大半の日本人にとってはやはり対岸の火事で、”観光で見たあの美しい建物が燃えるなんて”が主な感想だろう。私もそうである。

 

しかしパリ在住者にとっては、別にキリスト教関係者でなくても、心の支えを失われた状態だそうである。

 

それは中国人も例外ではなく、

「留学でパリで一人で孤独だったとき、いつもここに行った。ショックだ」

「塔に登るのに2時間並んだりしたけど、上からのセーヌ川の景色は、パリで一番素晴らしい場所。なのに……」

 

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セーヌ川の中洲、シテ島にある。筆者撮影。

思い入れが深く、それで原因もいろいろ取り沙汰されている。

 

テロかもしれないといえばアメリカが有利になるとか、報道が逆に事件を誘発するから抑えるとか、理由によっては修復工事をしていた会社が有利になるとか、情報は、政治的、経済的意図を持って流される(もしくは流されない)ことも多いが、そういうことは抜きにして、多少説得力があるな、と思ったのが以下である。

 

 ノートルダム大聖堂の元修復責任者が語る

漏電や火花では着火しない理由

 

情報源はフランスのテレビ局が放映した番組である。

ゲストは、建築の専門家で、2010年まで13年間、ノートルダム大聖堂の修復の責任者であったベンジャミン・モダン氏である。

 

彼はアナウンサーの質問に答えていわく、

「漏電や火花など、電気が原因の事故とは考えられない」と明言した。

 

その理由は、

①屋根は800年前の非常に良質な硬いオーク材でできている。オーク材は火がつきにくく、漏電や火花で、あんな風に激しくは燃え上がらない。

 

屋根裏内部は、日本のお寺の屋根のような感じである。

 

たしかにそこに火花が出て出火しても、そんなに消せないほど急に燃え広がるとは思えない。

木が多用されているため、「ノートルダム大聖堂の森」と呼ばれて電源はなく、今までも皆、懐中電灯を使って入っていたという。

 

 ②中は夏のひざしで、温度が上がって警報がなるぐらいの非常に性能の高い、熱源探索機と警報機が設置してある。また警備員が24時間、二人で警備している。

 

 ベンジャミン氏は、アナウンサーの、

「建物の中で、電線などが古くなっていたのでは」

という質問に対して、

「電線も部品も火災を充分考慮した、最高級のものを使っている。90年代から13年間、修復の修復の総責任者としていた経験からすると、それはありえない」

と答えている。

 

 「じゃあ、火災はどうして起こったと思われますか?」の質問には沈黙したあと、

「……私は電気だとは思っていない」。

 

 

修復に参加している会社は四社である。
火災発生時、関係していたのは二社で、一社が足場を組む会社。もう一つは彫刻の修復会社である。
足場の会社の社長は、工事の人は火災発生時、とっくに現場にいなかった、と宣誓している。さらに彫刻の会社の人も、彫刻を全部持ち出したあとは、社員はいなかったと証言している。

フランス政府は、運搬のために屋根まで掛けたエレベーターの電源から出火したのではないか、と発表している。

 

が、中国のネットでは、家具を作っている会社の人が、

「オーク材はそんな簡単に燃えない。バーナーで炙ってもなかなか火がつかない。漏電して、火花が起こったとしても、停電になったら消える」

 

まあ建築されて800年。乾燥していたのだろうか……、とは考えられるが、火事は火災報知器で発見されており(つまりそんなに時間が立っていない)、火花で着火したとして消し止められないほどの火力になるだろうか。

 この件の真実が明らかになることはないのではないか、と私は思う。

 

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ステンドグラスの窓は無事だったとか。筆者撮影。